女性の死に方
タイトルだけでも何か気になる、西尾元（兵庫医科大学法医学講座主任教授）先生、画：あらいぴろよ先生の「女性の死に方」10巻を読んだあらすじ（ネタバレあり）と感想をお届けします。
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女性の死に方【10巻】あらすじ
出勤した助手の女性看護師はどんよりした雰囲気で西尾先生に向かって、西尾先生、私は、結婚がしたいとです～と芸人の真似をしながら言っていました。
続けて、看護師が昨日私、自宅で1人ビールを飲みながらボーッとしていた時、私がこのまま死んでも誰も気付かないし、そのまま腐敗するのかな？孤独だなぁっと考えてしまったと悩みを打ち明けながら西尾先生の体を勢いよく揺さぶりながら、孤独死だけは避けたいんですよーと泣きながら訴えたのです。
すると、その話を聞いた西尾先生は、孤独と孤独死は別物だと思いますよと言ったら看護師は、えっ？誰か側にいれば孤独死はしませんよね？と不思議そうに聞いていたら、そのタイミングでご遺体が運ばれて来ました。
引きこもりだった女性の事例
山下佐江さん38歳
死後数日から1週間経っており、 ご遺体の腐乱が進んでおり、数年前母親を亡くしてからは、高齢になる父親と一軒家の実家で2人暮らしをしていて、精神疾患を患い 20代の頃から自分の部屋に引きこもっており、父親ともめったに顔を合わせず、1週間姿を見ないこともざらだったそうです、父親が腐敗臭に気付いて見つかりましたと警察官が説明しました。
説明を受けた西尾先生が、遺体にメスを入れて内臓を調べていたのだ。
解剖が終わったあと西尾先生が警察官に向かって、既に臓器の一部がウジ虫に食べられていて、死因の特定はできませんでしたと言ったら警察官がそう何ですか、ありがとうございますとお礼を言って部屋を出て行きました。
警察官が帰ったあと、西尾先生が看護師に向かって、夏場なら1ヶ月放置でウジ虫に全部食べられちゃうから、そうなると本当に何もわからないしと話をしていたらいきなり看護師が、西尾先生、山下さんはご家族と暮らしていまたよね？通常でしたら、同居人がいた場合8割以上は死後24時間以内に発見されますよね、それなのに 腐敗臭とかで気づくなんてとうつ向きながら悲しそうに話をしたのです。
その話を聞いた西尾先生が、山下さんは自分の部屋に引きこもり、精神病の通院も2年前にやめて、 家族とも社会との繋がりも断ってしまい、孤独死ではなかったけど孤独だったと思うよと西尾先生が話をしました。
孤独と孤独死
また、西尾先生がもう5年くらい前かな、寒さも厳しい1月のある日、高齢の女性を解剖したんだけど、秋元佳恵さん67歳で死因は凍死だったんだけど、彼女は数年前に夫を亡くしてから自宅近くのスーパーで働いていて、 趣味のフラワーアレンジメントの教室にも通って、自分の生活を楽しんでいたんだけど、家には暖房器具もあったんだけど、秋元さんは脳出血を起こして動けなくなってしまって、帰宅直後まで寒い部屋だったのか？それともタイマーが切れてしまったのか？人間誰でも体温が28°c程度に下がれば、どこにいようとも凍死してしまうからねと話をしました。
すると、その話を聞いた看護師が、 誰にも気付かれずに1人で寂しく亡くなっていた孤独死だったんですねと言ったら西尾先生は、だけどね、秋元さんは元から年齢的なことから健康面で不安を抱えていたから、何かあった時のために友人に合鍵を渡していたんだよ、 そしていつもの集まりに来ていなかった秋元さんを心配した友人が家に行って彼女を見つけたんだよと話をしたのだ。
確かに1人で暮らしていた結果、孤独死になったけど、決して孤独ではなかったんだと思うよと西尾先生が言いました。
もちろん1人暮らしのリスクは確かにあるし、注意する必要もあるけど、死んじゃったあとのことを今あれこれ考えるよりも、自分が望む形で今を幸せに生きることの方が大事だよと微笑みながら看護師に話をしたのです。
すると、その話を聞いた看護師は、そっかぁ！孤独死自体は仕方がないことだけど、孤独にならないことが大事なんですね！と言ったのだ。
その時、看護師は何かひらめいたかのようにハッとなり、と言うことなら、もっと飲みに行って、親睦を深めた方が良いということですね！行きましょう！と椅子から勢いよく立ち上がって、目をキラキラさせながら言いました。
帰り道
その夜、仕事帰りに西尾先生と看護師が飲みに出かける途中、西尾先生は街中にいる人たちを見て、死は誰にでも訪れることだ、しかし悲しい死に方を知っていたら、対策を講じて避けられる不幸もあると内心思っていたのだ。
すると、前を歩いていた看護師が 振り向きそう西尾先生に向かって、 西尾先生！早く行きましょうよ！と嬉しそうな顔をして言ったのです。
西尾先生はそんな看護師の笑顔を見て、思わずフフッと笑ってしまいました。それと同時に、そうやって不幸を避けながら、自分が思う素晴らしい人生を求めていけば、どんな最後であっても大きな後悔はしないはずだし、だからどうかみなさん、今を幸せに生きて欲しいですと西尾先生は心の中で思っていたのだ。
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「女性の死に方」10巻の感想
家族はいるけど引きこもりになった山下さんと1人暮らしだった秋元さんの孤独と孤独死の違いが上手く描かれていて、山下さんの場合は父親と一緒に暮らしていても孤独だったし、秋元さんの場合は、 1人暮らしだったとしても孤独じゃなかったということを考えたら、誰かと一緒に暮らすことに意味がある訳じゃなくて、誰かと繋がっていることに意味があるんだと思いました。
西尾先生が言っていたように、秋元さんみたいに自分が生き生きして過ごせる場所があったり、誰かと繋がることそれは決して家族じゃなくても、友人だったり恋人だったり仕事仲間やそういった人と、繋がっていることが大切なんだと痛感したし、先のことより今現在自分が自分なりの形で、楽しみを見つけながら日々生きていくことが良いのかな？と考えてしまいました。
この作品を通じて、様々な女性のご遺体を見てきましたが、法医学で人の死を突き詰めることで、その人が生前どんな人生を歩んでいたのかがわかったりして、解剖することの意味が必要な理由などもわかって凄い勉強にもなりました！
また、解剖という特殊な仕事は、並々ならぬメンタルの強さが必要だし、本当に先生や看護師の仕事の大変さを痛感して頭が下がるばかりです。
亡くなってしまった人の気持ちは正直わからないのも事実ですが、解剖することによって新しい発見を次に繋げていき、防げる死を未然に防げる世の中になればと感じたし、女性なら読んで損はない自分のためになる1冊だったと思います！
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